ジェームスグロースの起源は 1876 年のノーザンプトンまで遡ります。
創業者であるジョセフ G. グロース氏は、ノーサンプトン市セントジェームスにて皮革職人として働き始め、自転車レースで全国記録を更新するほどの実力者でした。
職人でありビジネスマンであった彼は、自動車用品をはじめとして、周辺アクセサリの小売事業をはじめます。
第一次世界大戦を経てイギリスではオートバイが広く普及したことで、事業は大きく飛躍することになります。
特に “Grose-Spur” と呼ばれるシンプルな構造の 120 CC のバイクは、第一次大戦の人手や資源不足の中でも製造や原材料の調達のしやすさなどから大変良く知られたモデルとなりました。
UK モーターサイクル全盛期には、ジェームスグロースはモーターサイクリストのウェアやアクセサリーを扱うリテーラーとして発展し、1950 年代には、スポーツ用品全般を取り扱うロンドン有数のデパートメントストアとして親しまれました。
1970年代に入ると、イギリス国内は未曾有の不況に陥ります。
ロンドンのメインロードであるユーストンロードとグレイトポートランド・ストリートが交差する地にランドマークとして長らく君臨した、ジェームスグロースも経済停滞の波には抗えず、1971 年にその歴史に幕を下ろしました。
それから約40年。人々に忘れ去られていたブランドに転機が訪れます。
ロンドンの工場で保管されていたヴィンテージのライダースジャケットが見つかりました。
1950年代に製造されており、革質のすばらしさはもちろん、非常に優れた技術で縫製された逸品でした。
そこから年月を経てブランドは2016年に復活を遂げることになります。
現在はロンドン市内唯一と言われる、小さなモーターサイクルジャケット専門ファクトリーにて、職人が1着ずつ心を込めてつくっています。